2016年9月17日

ザ・ラストヒューマン マチコ


マチコさんは今、

地球にほとんど人がいなくなった今、
歩いても歩いても人に会えなくなった今、
自分の住む町が砂漠になって何も無くなった今、
お腹がすいてのどが乾いて、
ああもういよいよ死ぬなという時が来て、
倒れて目を閉じようとしている今、

マチコさんは今、
目の前でその砂漠に偶然綺麗な花が咲いているのを見つけた。

どうせなら水とか食べ物だったら良かったのにと思うのか、
ああ死ぬ前に綺麗な花を見れて良かったなと思うのか、
この世界に対して恨みのひとつでも思うのか、
単純に会いたい人のことを思うのか、
この花との出会いに意味を見いだそうと思うのか、
全然関係ないどうでもいいことを思うのか、

マチコさんは今、この瞬間には
どんなことを思えばいいのか一瞬迷ったけど、

何を思ったら正解かを迷っている自分を
笑って面白がる余裕をみせた。

そしてマチコさんは鼻歌を歌って素直に死んでいった。





:「杉本博司 ロスト・ヒューマン」を見たの人の
 いつかのメモより