2017年6月30日

メグル君は三年前に出会った歌を胸に抱きながら。




メグル君は落胆している。

七年ぶりに、
よく知っている街の懐かしい道に出くわしたはいいが、
その道を七年ぶりに歩いている自分の身なりときたら、

七年前と同じTシャツを着て、
七年前と同じズボンを履き、
七年前と同じサンダルを引きずり、
七年前と同じカバンを肩にかけ、

そしてそれらすべて、
メグル君と共に七年分の時間が刻まれて廃れていた。

七年前と同じ財布の中には、相変わらず、
七年前と同じだけの小銭だけが入っていて、

七年前にはなかった
オシャレなカフェのウィンドウに映る自分の姿を見て、
七年経っても猫背のままのメグル君は、

七年前より一層賑わっているその道に対して
久しぶりに出会った喜びなんて一瞬にして泡となり、
虚しく消えていった。

メグル君はいま、落胆している。

七年ぶりに歩いているその道を抜けるまであと100メートル。
くじけそうな時に歌う歌を心の中で歌って、陽気に堂々と歩く。

メグル君だけが七年前のまま、

しかし、いまメグル君が心の中で歌っているその歌は、
この七年の間に知った歌だということに、
メグル君は気づかないまま、

メグル君は、
七年前と何一つ変わっていないと思い込んだまま、
メグル君は今の自分にとても落胆している。





2017年6月10日

明るい過去。明るい今と、明るい未来。



ヨウスケさんは
過剰なまでに期待をする。

自分のことにも人のことにも、
自分がいる場所もみんながいる場所も、
過去のことも今のことも未来のことも、

過剰なまでに大きな期待をして、
語りかけ、相手にされず、おおいに落ち込む。

大変惨めな気持ちもたくさんしているのに、
それでもヨウスケさんは次こそはと
周りが止めたところで
過剰なまでに期待して話しかけることをやめなかった。

ああ、想像と違っていたなと肩を落としながら、
それでも世界のあらゆるものに対して
次こそはと大きく期待して、

今日も朝から駅まで歩き、電車に乗り、会社へ行く。
どうせ今日もひとりぽっちなくせに、
今日も今日という日にバカみたいに大きな期待を抱いている。

まだ誘われもしてないパーティに、
足を運ぶ夜を想像して、
ヨウスケさんは身支度をしている。

ヨウスケさんの
振り返る過去と過ごしている今と思い描く未来は、
たいそう明るいのだそうだ。