2017年10月14日

what a wonderful day!



リンタロウの部屋のテーブルには、
ミヨ子とサト子が並んで座っている。

二人とも、リンタロウの向かいに座り、
リンタロウのことをじっと見つめたまま、
この部屋の三人の時間はゆっくり流れていく。

『無人島にひとつだけ持ちこめるとしたら、
 アナタは何を持っていきますか?!』

2時間前に二人が突然リンタロウの部屋に来る前から
ずっと付けっ放しにしていたテレビのバラエティ番組から
そんな質問が聞こえてきた。


♪ 生きる場所として行くのなら、ミヨ子ちゃんを連れて行く。
♪ 死ぬ場所として行くのなら、サト子ちゃんを連れ行く。


リンタロウは、
このあとの果てしない時間を想像しながら、
テレビの質問に対してものすごく無邪気に、
ひとり心の中で、歌にのせてそう答える。


what a wonderful day






2017年10月4日

どうせフラペチーノ



その話の中で
エマさんはチエミさんと話している。
20世紀のアイドルの話と21世紀のサーカスの話を
延々と話している。
エマさんは最後まで具体的な相談を一切口にしないまま
かれこれ五時間、二人はカフェで話をしている。
近所の焼肉屋のカルビの話もしている。

エマさんはチエミさんと別れた帰り道、
お腹の中の子どもを堕ろすことを決めたようだ。
エマさんにとっては一大事で、
大きな岐路に立っているつもりでいるようだった。

しかし、実際のところ、
そこは大きな岐路でもなんでもなくて、
はっきり言ってただの一本道だということを
エマさんはまだ気づいていない。

エマさんの場合、
そこで子どもを産んでも産まなくても、
エマさんは今と変わらず、
三十年後もフラペチーノを口にする。

その三十年後のフラペチーノまでの道と、
さらにその先のアーモンドミルクラテまでの道と、
さらにその先の先の先にあるレモンスカッシュまでの道は、
どうせずっと一本道である。

その歩く道の、彩りが増しただけの話である。

だからこの話の中のエマさんの場合、
ここで子どもを産んでも産まなくても
たいした問題ではない。
なんの問題もない。